薬王堂気まぐれ通信使№806  2019-10-22
Yakuoudo Capricious Communications Satellite

広島県及び薬剤師会の主催した第54回『薬草に親しむ会』が県北の吉和町・魅惑の里で開催されました。
私は講師の一人として参加しました。
集合時間は午前10時、現地集合ということで朝8時に出発しました。
主旨は『薬用植物の専門家とともに歩き、野山に自生している薬用植物を観察し、薬効、薬用部位、使用方法及び栽培、漢方薬の知識を習得することを目的とする』ということになっています。
その時の様子を記録しておきましょう!


ナツメ

中国自動車道・吉和インターで下り町内を通り集合場所に急ぎます。
途中、ナツメの実がなっていました。
ナツメに関しては講師解説の中で少し話します。
今年は遠方での開催とあって参加者は例年に比べ少なかったようです。
私は漢方生薬の講師として約20名の方々と行動を共にしました。


開会


薬用植物を観察するのが目的ですがそんなに多く自生しているものでもありません。
ただ自生する野生植物が薬用植物とどんな関係にあるのか!どのように区別するのか!ということなどをお話しします。
ということは一般植物の知識もある程度持っておかないといけません。
薬用に限らず目の前にある動植物に興味を持ち自然に親しんでいただけることが一番の目的と考えています。
コナラの樹木が出てくればクリアベマキなどの区別点を葉や種を用いて比較してみます。
昔はコナラの幹を炭として用いたこと、炭は熱源として重要だったこと、最上級の炭は同属(コナラ属)のウバメガシでつくる備長炭であることなどを話します。
クリの葉は内服することはありませんが民間で煎じた汁をかぶれに外用して用いることがあるなど・・
ウラジロガシを民間療法で尿路結石を出す目的で用いることがあるが本当に効能はあるのか??
関連した事項を思いつくまま話してゆきました。
キク科の白い花が出てきました。


シロヨメナ


この種類は区別しにくくここで見られたのはシロヨメナでした。
花のよく似たイナカギク(ヤマシロギク)は葉の付け根が茎を巻くのに対しシロヨメナは茎を巻きません
オトコヨウゾメが赤い実をつけていました。
よく似た実にコバノガマズミやミヤマガマズミがありますので比べてみます。
これらも薬用にすることはないようですが焼酎などに漬け込み愛飲する方がいるとのこと・・
キノコの仲間が出てきました。
これはホコリタケであろうと!同行者の方から教えてもらいます。
参加者の方のほうがくわしい事項もありますので同じ立ち位置で会話するようにしています。


吉和・水源の森を歩く


薬として扱われたこともあるイワタバコ
大黄の仲間のギシギシ ()
葉の裏の毛を集めて火縄銃の導火線に用いたと言われるヤマボクチ
乳を出すために煎じて服用したと聞く葉緑素を持たない腐生植物・ランの仲間のツチアケビ
カバノキ科のミズメは別名=ヨグソミネバリ(変な名)、サリチル酸メチルの匂いがしてサロンパスの樹とも言われていること、あずさ弓の材料としても用いられたこと、、
ツチグリ
毒キノコ
名前のわからない食べれそうな?キノコ
スミレの仲間(中国で紫花地丁として薬用)
オミナエシと同様に根を敗醤として清熱解毒薬として用いるオトコエシ
鷹匠の兄弟げんかで弟を切りつけたことで名前が付いたオトギリソウ(弟切草)


オトギリソウ


モズの仕業か?イナゴのはえにえがありました。
昔はイナゴを焼いて食べたものです
便通を促すと言われるノイバラ?の実(営実)
根を薬用(天南星)として用いるマムシグサの実
ナルコユリ(根を黄精として潤陰に用いる)
アマズルなどその他いろいろ・・
クツワムシが産卵準備
にょろにょろが木に登っています
これはシマヘビ、かまれても毒牙を持ちません。
持った手も洗わず昼食にします。
午後から各講師の話へと続きました。


魅惑の里・ふれあいホールにて


私は午前中に見つけたナツメの話、ナツメは棗と書いて棘(刺)という字に関係しているであろう?と自説を講釈します。
山はすっかり秋景色でした。


紅葉

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